SIGGRAPH 2007 最終日
今日は SIGGRAPH2007 の最終日でした。 今日見てきた、Fluid 系の論文について書きます。
この発表は、粒子法を用いた不溶性ガスの泡のシミュレーションに関しての発表でした。
泡は基本的に球形とみなし、泡の密度、体積とその周りの液体の密度から泡に働く浮力、泡と泡の衝突、泡と液体粒子の相互作用などにより泡の動きをシミュレートします。
最適なパラメータの値を決めるのは困難で、直感でそれっぽく見えるパラメータを見つけたようです。 これで作られたビールのアニメーションは泡が消えるのが早すぎると思い、まだまだ課題はたくさんあるといった感じでした。
水面とその上に物体が存在するような際に生じる波のシミュレーションについてのものでした。
物理をベースにしたシミュレーションは、演算のコストが大きく、リアルタイムにレンダリングをするのは難しいです。 そこで、wave particle というものを用いて、水面と物体のシミュレーションをリアルタイムでシミュレーションしようと言うものでした。
波の粒子はお互いに相互作用しないので、計算量を少なくすることができます。 物体が水面上を動く際にできる波も、その動きに応じた波の粒子を生成することで、波を起こすことができます。
ジョイスティックでボートを動かすデモを見ましたが、少しも処理落ちすることなく波が発生し、それっぽい感じが出ていました。
A Fast Variational Framework for Accurate Solid-Fluid Coupling
液体とでこぼこな固体を同時に扱うシミュレーションは現在きちんとできているとは言えないので、それに対する新たなフレームワークを提唱する、といった発表でした。
詳しくは論文をじっくり読んで見ないと分かりませんが、格子法を用いて、最終的には連立一次方程式を解くことになりそうです。 デモはとてもよくできていて、固体のモーメントも扱えるようになっているようで、とても興味深い論文でした。
さて最後に、SIGGRAPH2007 に関して私が感じたことを書こうと思います。
まず、今年の SIGGRAPH で最もよく聞いた単語は、「リアルタイム」と「GPU」です。 多くの論文でもリアルタイム性が重視され、GPU を用いて処理の高速化をしていました。
また、学生の視点から見た SIGGRAPH は、いろいろな人と知り合えるとても良いチャンスであり、自身の勉強を促進するためのものでもある、ということです。 私自身、自分の知識が全然足りておらず、論文の内容も完全に、正しく理解しているとはいえません。 しかし、この SIGGRAPH を通して気になった論文を理解するために勉強をすることで、自身の能力を高められると考えられます。
そして、新たな閃きをもたらしてくれる可能性もあります。 私も論文の発表や、いろいろな人との話を通して、いくつかのアイディアを得ることができました。
担当:齋藤 (情報過多で処理が重くなっております)